Pがきえた

作: Hiroki ITO, 校正: Mikiyasu KOBAYASHI

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パッポー、ガチャ

と、ここで壁にかけてあった鳩時計が1回鳴った。19:30である

フゥ、時計に救われたか……

最初、探偵役が俺に務まるかと心配だったが、まさか自分に疑いがかかるとは思わなかった

しかしこのゲームの終了時間は19:30。これは予め決まっていたことである

1. 言い逃れできない証拠を突きつけられない限り、制限時間内に犯人は絶対に自白しない

これがこのゲームの大前提

2. 探偵役が制限時間内に犯人に自白させればそこで終了

今回の俺は明確な証拠を突きつけるまでには至らなかった

3. そうでなければ、制限時間終了後に全員が回答し、答え合わせを行う

各人が推理し、犯人を探し当てる。これがこのゲームの目的だ

架空のケースを誰かが考えてそれで推理を行う場合もあるが、今回は実際に起こった事件である

ーーー

茜「それじゃ、みんな書けたか?」

他人に見えないよう、それぞれが事件についての推理を書く

犯人、動機、犯行手口などなど。分かることをなるべく詳細に記述する

今回の事件なら犯行手口は大した問題じゃないだろう

まず第一に考えるべきは、犯人が誰か、である

さて、ではこれを読んでいる諸君にもこのゲームに参加してもらおうではないか

細かいことはまぁ置いといて、今回の事件、犯人はだれだろうか?

被害者であるはずの桜か?

チョコレートが嫌いな山吹か?

ゴミを捨てていた朝比奈さんか?

特に疑われなかった会長か?

それとも、この俺か?

……さぁ、選択肢はたったの5つだ