ちょいと前のNFにて京都大学漫画研究部が発行する風車小屋七十五号と風車小屋七十六号を購入した。目を通した感想をちょろっと記す。
七十五号で面白いと思ったのは、佐武原幸 作の「絵空事独り世界を泳ぐ」である。28ページという一般的な商業誌の読切作品と同じくらいのスペースをしっかり使い切って物語の世界を構築していると思った。主人公は学校、家、そして姉の部屋、と異なる場面でそれぞれ異なる顔を見せている。その切り替わりの描写に感銘を受けた。謎が残るSF設定、すっきりしない終わり方、なども適度で好みである。
七十六号の方では、奈良阪某 作の「俺の幼馴染がメガネでアンドロイドで宇宙人でメガネなんだけど……」が良かった。たまにベタ塗りがあるだけで基本は等幅線だけという作画ながら、人物の表情が豊かでなおかつ自然である。そして何より漫画として面白い。読んでない人に私のレビューで面白さを伝えることなどできるはずないが、最初に読んだときは声に出して笑ってしまった。ヨーコちゃんとか最高である。
以上。風車小屋七十五号と風車小屋七十六号はそれぞれ表紙を入れて156頁と164頁あるが、装丁もしっかりしていて販売価格からすると赤字としか思えない。
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Posted 05 12月 2013
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Tagged: レビュー, 漫画
22年度秋期の結果 (括弧内は中問の結果を表す)
ストラテジ系
28/35 (3/3)
マネジメント系
23/25 (5/5)
テクノロジ系
38/40 (4/4)
合計
89/100
ケアレスミスは1問。
相変わらずストラテジ系の問題で不正解を連発したが、それ以外は割と正答率が高く、特に中問は全問正解で過去最高の合計素点を記録した。
私が正答率低いストラテジ系の問題と言うのは、例えばこんな感じである。
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問29 経営戦略の目標や目的を達成する上で、重要な要因を表すものはどれか。
ア CSF
イ ERP
ウ MRP
エ CSM
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(ITパスポート試験 22年度 秋期の過去問より)
答えはアのCSFで、調べてみるとCSFは"Critical Success Factors"の略、日本語では「主要成功要因」と表記されるらしい。だったら最初から日本語で主要成功要因って言えばいいじゃねぇか!と思うのだが、専門家というのは独自の用語を使いたがる節があるので、仕方ないと言えば仕方ない。生物系でも例えばうちの研究室ではLMAという略語がしばしば飛び交うが、これが"Leaf Mass Area"、すなわち「葉面積あたりの葉重」を意味するというのは、植物の生態を勉強している人しか知らないと思われる。まぁ上の問に関して言えば、問題文で「要因を表すものはどれか」と聞かれているのだから答えとなる言葉に"Factor"って単語は入るよな、と考えて選択肢の中から唯一"F"が入るアを選べるんじゃね?という意見はあるだろうが、それだけじゃ絞り込めない場合もあるし、問題文中の単語をそのまま変換したような英単語が使われていないケースもあるわけで、要するに難しいと言いたいのだ。
Jamendoで無料ダウンロードできるJosh Woodwardの曲が凄い。
Creative Commons Music – Josh Woodward – Josh Woodward
Jamendo – Josh Woodward
Josh Woodwardについて日本語で書いているページは片手で足りるくらいしか見つからないのであるが、まぁとりあえず聞いてみろ、という感じ。この人はCDにして19枚分(アルバム、シングル含め)の曲をJamendoで提供しており(MP3 192 VBR)、おまけに歌詞やミュージックビデオなども自身のサイトで公開しているという素晴らしいアーティストだ。最も人気のある曲はJamendo内で30万回以上再生されている。私はまだ全てを聴いていないが、歌詞や曲調も特に攻撃的ではなく、安心して聴ける。
今特に私がハマっているのは、”Airplane Mode”、”Morning Blue”など。
ちなみに公式サイトによれば、全ての曲(Flac)が入ったzipファイルをたったの$40で売ってくれるらしい。もう少し聴いてみて気に入る曲がたくさんあれば、$40くらい出す価値は十分にあると思う。
また、Jamendoや自身のサイトで公開しているMP3ファイルがLAMEでエンコードされていることや、販売しているファイルもFlacということから、OSSへの理解もある人なのではないかと勝手に推測する。
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Posted 03 12月 2013
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Tagged: WEB, レビュー, 音楽
「絵師は安すぎる賃金で働いてはいけないというのは甘えじゃないの? – rebamakiの日記」
の記事を読んでなかなかに感銘を受けた。いや、賛同の方が正しいか。私も常々考えていたことである。
この記事に対するコメントで「横から失礼」というHNの方(最低賃金の設定が必要であるとの立場)が、こんなことを書いている(以下のコメントが同一人物によるものかは厳密には不明)。
(1)
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「適正賃金の要求」は甘えなどではなく、業界を守る為に必要な事です。
市場原理によって賃金が必要以上に下がり続けると後継者不足が起き市場が衰退します。
ツイッターにも例に出ていましたが年金をもらっている高齢者が安く仕事を受けるせいで衰退している業界はかなりあります。
例えば農業もそのひとつです。
きちんと賃金のもらえない市場には若者は誰も寄り付かなくなるのです。
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(一部改行を削除)
(2)
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まぁ最低賃金を否定される方はどうぞ主婦や老人や学生のみが描く画一的かつ低レベルな絵だけがあふれる世界を楽しみにしていて下さい。
市場に金がなくなり、母数が減ると恐ろしく衰退しますよ。
翻訳業界などが身をもって体現してくれてます。
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(一部改行を削除)
今回はこれに反論したい(以下を読む前に、前述の記事全部を読むことを強く薦める)。
まず(1)の「業界を守る」あるいは「後継者不足が起き(る)」ということに関してだが、絵を描く技術に関してはWEB上なり書籍なりでノウハウがかなり蓄積されているので、絵を描く文化が完全に失われるということはありえない。またプロの製作した作品も腐るほど現存しているので、初心者が目指せる「上」が無くなる、ということもありえない。職業として絵を描いている立場の人からすれば、所得を生むために必要な「業界」が衰退するのは痛手だろうが、絵の文化そのものが衰退するとは思えない。そもそも、私は別に次々と新しい商業漫画が連載されなくても構わないと思ってるし、アニメだって新しいのをどんどん放送するから観てるだけで、製作されなくなれば、過去の作品をDVDで借りて観ればいいと思っている。「業界を守る」というのは要するに、「消費者に金を出しつづけさせる方法を確保する」ということである。
また(1)で農業が「高齢者が安く仕事を受けるせいで衰退している」と書かれているが、これは大いに結構なことである。高齢者が安い報酬で農作物を生産してくれるなら、消費者はより低価格で食品を手に入れることが出来るのだ。若い人が同じ賃金でやっていけないというのなら、別の仕事を見つければいいのである。
次に(2)で、「主婦や老人や学生のみが描く画一的かつ低レベルな絵だけがあふれる世界を楽しみにしていて下さい」とあるが、私はむしろ商業一辺倒より趣味でやる人が増えた方が、多様性が増すと考える。常識的に考えて、商業的な絵というのは、商業として成り立つ対象に向けて、商業的に成り立つ手法でのみ生産されるが、趣味的な絵というのは対象の数(あるいは有無!)や費やす時間と労力をある程度無視して作成されるからだ。そして「主婦や老人や学生が描く」絵が「低レベル」かどうか判断するのは私にはできないし、おそらく誰にもできないだろう。ただし、ここ言う「レベル」に、定期性や完全性とういものが含まれるなら、その点については商業作品が圧倒的に優れていると思う。
……というわけで、私は記事本文の内容に概ね賛成であるし、コメント欄で議論している人であれば「TOMOTAKA」さんの方に賛成である。別に「横から失礼」さんの意見が「甘え」だとは言わないが、現状への理解が足りていないのと、周囲の状況変化に対する適応力が不足しているように思う。
・「音楽の購入に至るかを決める際、より重要なのは作詞家の信用度である」
間奏が酷い、という場合もあるにはあるが、基本的に曲の構成はアニメやドラマのOE&EDで使われるショートバージョン(最近は公式がYouTube等で公開することも多い)の繰り返しになるので、フルバージョンを聞かずとも確認できる。ところが歌詞の方はというと、2番に入っていきなりハマりが悪くなったり、言葉のチョイスが悪くなることがある。私が音楽のレビューでよく使う表現であるところの「歌詞のハマりが悪い」とはすなわち歌詞の音数がリズムに合っていないということであり、楽曲の1番と2番の歌詞で文字数が違えば必然的に至る状態である。楽曲が作られる過程で、歌詞が先だったのか曲が先だったのかは分からないが、1番と2番で著しく文字数が異なるというのは、作詞力が低いととられても仕方ない。もっとも、歌詞の文字数が1番と2番でまったく同じ、というのは難しいし、言葉のアクセントや曲の具合によっては多少の文字数変化が許容できる、あるいはむしろ味を出すということもあるだろう。日本古来の和歌でも、字余りは許容されている。しかしながら、実際に声に出してみて不自然となれば短歌や俳句として認められないだろう。それと同じで、J-POPやアニソンでも曲に対する歌詞の音数変化の許容度合いというのは必ず存在するはずで、それを超えてしまうと、曲の完成度が著しく損なわれるように思う。逆に言えば、そういった制限があるからこそ、作詞家というジャンルの仕事があるわけで、そうでなければ思いついたことをつらつら書いて曲にむりやりねじ込めば楽曲が完成してしまうことになる。
・「YouTubeの薦めてくる”What To Watch”はよくない」
日本語だと「あなたへのおすすめ」とかいう表記になっているものである。これが少なくとも私の知る限りiOS版とPS3版のYouTubeアプリでログインしたとき最初に表示される。普通のブラウザで開く場合はブックマーク先を、
http://www.youtube.com/feed/subscriptions
にすれば登録チャネルをすぐに開けるのでいいが、YouTubeアプリの場合はこれが設定できないようなので困る。ちなみにPS vitaでは今使っているバージョンだと「登録チャンネル」が最初に表示される。これは低速の3G回線を使用する場合を想定しての配慮と思われる。‥…話がずれたが、この”What To Watch”の何がよくないかというと、簡単に言えば違法にアップロードされた動画をリストに出してくることである。そりゃまぁ確かにYouTube側からすれば、動画は著作権に配慮した上でアップロードしてね、と言っているし、違法なものは削除依頼を受けて消すという対応もとっているのだから、(理想的に)全ての動画は著作権的に問題の無いもので、どれをユーザーに観るよう薦めても問題ないよね、と思っていることだろう。だが実際のところはどうかというと、現状として違法な動画が溢れているのが事実である。だから私は、YouTubeを利用する際はなるべく公式チャンネルで取り扱われているものだけを観るようにしたいし、そのために公式チャンネルを登録して、登録したチャンネルでアップロードされたものを観るようにしているのだ。それなのに、私が再生した動画とタイトルやタグに関連性がありそうだというだけで、別の違法にアップロードされた動画をアプリのトップページで薦めてくる、これが腹立たしいのである。
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Posted 03 12月 2013
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