救急救命士の話術

先日、必要があって救命講習を受けてきた。普通救命講習Ⅰという3時間のコースだったのだが、何より印象に残ったのは、講習を担当していた救急救命士の話術だった。講師は50歳前後の救急救命士1名と30歳前後の救急隊員2名が担当し、受講していたのは私を含め20名ほどだったのだが、基本的には救急救命士が説明・解説し、2名の救急隊員は説明の補助や実技を担当していた。この救急救命士のトークが半端なく面白いのだ。多くの受講生が声を出して何度も笑っていたし、私も2度ほどは腹を抱えて笑ってしまった。とはいえ救命講習は人の生死に関わること。救急救命士も重要なことはしっかり説明していたし、使う表現にも配慮が見られた。意外だったのは受講生の意欲で、私以外の受講生は多くが小学生以下の子供をもつ母親だったのだが、救急救命士の話を聴くのも実技に取り組むのも真剣だった上、質疑応答では良い質問がいくつも出た。講習が行われた場所は山間部の住宅地であるため、いざというとき救急車の到着を待っているだけでは助からない、という救急救命士による冒頭の説明も、受講者の意欲を高めるのに役立っていたことだろう。一般人に3時間もの講習を受けさせ、なおかつ内容を記憶に留めてもらうには、こういった話術が求められるのか、と感心させられた。もちろん、救急救命士の本業は人を笑わせることではないのだが、現場で1分1秒を争う時に、救命が必要になった人やその家族、あるいは仲間の救急隊員たちと素早く適切な意思疎通が図る能力は不可欠だろう。

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