嫌いな国なんて無い

「国産のものは安全で、外国産だと危険」

「あの国の人間は、自国の人間より劣っている」

「我々の文化は崇高だが、どこどこの国には低俗な文化しかない」

 こういう幻想をぶち壊していかないと、先へは進めないと思う。例えば、日本で作られたコンテンツを海外へ発信する動きは国内で歓迎されるのに、他国の文化を導入しようとすると信じられないような猛反発をする人がいる。これはどう考えてもおかしい。コンピュータ系のパーツなんて殆どが海外製なのにも関わらず、未だに海外メーカーの品より国内メーカーの方がよいと決め付けて買う人がいる。どう考えてもおかしい。自国が発祥地の競技では、自国出身の選手が勝つべきだと考えている人がいる。これもやっぱりおかしい。

 もちろん、現状を正確に把握することは大切で、実際に日本よりも治安が悪い国というのは存在するし、衛生状態がよろしくない地域もあるだろう。ある特定の国から敵対視されたり、何らかの被害を被ることもあるだろう。だが、そうであったとしても、それぞれの国や地域には確かに人間が生活し、暮らしを立て、文化を持っている。それを忘れてはいけない。

 立場上、国家主義的な考え方をしないとやっていけない人も世の中にはいるし、それに追随して盲目的に愛国精神を植え付けられている民衆は仕方ないと思うが、少なくとも科学者というのはそういった国家主義から離れているべきだと私は思う。科学者も人間なので、あらゆる偏見や差別的思考と無縁でいることは難しいが、少なくとも一般の人より平等で客観的な見方を身につけていて然るべきだ。

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