すじのとおったふーき

 私は父のことが嫌いだが、父が作るフキの煮物は好きである。

 私の父は普段家に居るときは料理というものをほとんどしないが、祖父の家、つまり父にとっての実家に行くと、なぜか熱心に料理をする。とはいってもレシピは限られているので、祖父の家に行く度に同じ品を作る。その一つが、フキの煮物である。私はここ6年ほど一人暮らしをしていて、ある程度自炊もしているが、この6年間でフキを購入した記憶はない。母親についてもフキの煮物をよく作っていたという覚えは無いので、私にとってフキの煮物と言えば、祖父の家で父が作るものということになる。

 昨日もこのフキの煮物を食べたのであるが、美味かった。そして食べながら湧いてきたのは、今の子供たちが持たされている弁当にフキは入っているのだろうか、という疑問である。昔歌った記憶のある『おべんとうばこのうた』には「すじのとおったふーき」という詞があるが、思い返してみると、幼い頃の私は決してフキの煮物を好いていなかった。今の子供たちにもフキの煮物が人気だとは思えない。

 GW中に考えたオチも何もない話である。ちなみに、祖父の家を訪れた際の私はというと、父とは逆にほぼ料理をしない。

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