祖父の家で「高安犬物語」(戸川幸夫 著)を読んだ。前にも読んだような記憶があるので、読み返したというのが正確だろうか。ちなみに、高安犬の読み方は“こうやすいぬ”である。私は“たかやすけん”だと思っていたが。この「高安犬物語」は私にとって割と好きな部類に入る文学作品で、文庫サイズで約50頁という短さも読みやすい。正直私は「犬の血統とかどうでもいい」と思っているので、血統書付きの犬を高値で取引している人間は馬鹿野郎だと思っている。少なくとも、体格が著しく小型、あるいは足が短い、などといった、どう考えても劣性形質を選別した結果生まれた品種をありがたがるのは、意味不明である。だから、私が感じる「高安犬物語」の面白さというのは、この物語に出てくる、最後の純血な高安犬、の希少性ではない。猟師の口を通して語られる、「働く犬」としての高安犬、チンの姿が感動的なのである。ぬくぬくとペットとして飼われているだけの犬では、こういう面白さは出せないと思う。
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