「GOSICK」1巻を読み終えました。アニメの方は原作と時間軸を変えてきているので、「あぁアブリルは原作の方で上手いこと登場させてるんだろうなぁ」とか考えながら読みました。
ところで私思うんですがね、といきなり私のミステリー論を書き始めますが、推理小説(昔で言うと探偵小説)でよく注目されるトリックなるもの、あれは幻想だと思うのですよ。「このトリックが凄い!」とかよく宣伝文句でありますが、トリックなんて物は色んな人が推理小説を書いてたらすぐに尽きてしまいます。いや、確かにありますよ、名作と言われるものにはその作品を象徴するような重要な要素としてのトリックが。しかしですね、例えば「実は犯人が使った凶器は氷でできていた」なんてごくありふれたトリックを使って小説を書いたとしても、一流の作品に仕上げることはできると思うのですよ。むしろ下手に凝った暗号やトリックを考えたところで、現実味が薄いと複雑な展開に読むのが疲れるばかりでしんどくなります。より大事なのはそう、「流れ」です。私は本を読む時でもアニメを観る時でも、また自分自身がレポートやらなんやらを書く時も常に考えているのは「流れ」です。物語の登場人物がどういう状況に遭い、何を見てどう考えたか、そして最終的にどういった判断を下すかという一連の「流れ」をしっかり魅せる作品が私は素晴らしいのではないかと考えているのです。なお、「しっかり魅せる」という部分には、登場人物の観察能力が優れているとか、思考が論理的である、判断能力が高い、といった特徴が含まれていることを指します。これは推理もの以外、普通のアドベンチャーゲームなんかでもそうです。この「流れ」が悪いと、読んでいる間に「あれ?」と思う箇所が幾つも出てきて躓きます。物語を複雑にしようとしすぎると、登場人物の行動が非論理的になりすぎて「流れ」が悪くなるというのはよくあるパターンです。確かに物語の中では登場人物は特殊な状況というものに置かれます。それは殺人現場だったり災害現場だったり、とにかく正常な判断を下しにくくなるような状況です。ですが、そこで正常な判断をしてこその探偵じゃないですか?と私は声を大にして言いたい。冷静沈着、これこそ探偵の持つべき資質その1です。つまりですね、長々と書きましたが、結局のところ何を主張したかったかというと、ヴィクトリカは可愛いということですよ(あれ?)。まぁ多少論理の飛躍があるなぁとか思うこともありますが、それはきっと言語化されていないだけで湧き出る知恵の泉が教えてくれているのでしょう。ヴィクトリカの観察眼と判断能力は1巻を読んだ限り確かです。主人公の方は観察能力も思考力も残念なレベルですがね。
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