「ミントガムを噛んだ後にブドウジュース (スーパーで150円/Lくらいの安いやつ)を飲むと、デラウェアの味っぽくなる!」
……というどうでもいい発見は置いといて、最近の私は茶漬けがブームである。茶漬けと言っても、永○園のインスタントではない。急須で入れた煎茶をご飯にかけて食べるのである。
元々、私は茶漬けというものに興味があった。時代劇を見ていると、宿屋で飯を喰っている侍が給仕の者に、「茶漬けを頼む」と言うシーンがたまにあり、これがなんだかカッコいいので、私の中では「茶漬けを頼む」が人生で一度は言いたい台詞の一つになっている。ただ、中学時代にはかなりの頻度で永○園のインスタント茶漬けを食していた頃もあったのだが、本物の茶漬けを食べるということは最近までほとんどなく、せいぜいTV番組で鯛茶漬けなどの料理を紹介しているのを観て、美味そうだなと思っていた程度である。
私が最近になって茶漬けを食べるようになったのは、2年程前に急須を買って使いだしたということもあるが、それよりも半年ほど前から北大路魯山人の著した書を読むようになったことに依るところが大きい。北大路魯山人の著作は多くが青空文庫にて閲覧可能なのであるが、これが実に興味深いのである。もちろん、古い著作であるし味覚は人それぞれであるから、著者の意見が完全に正しいと思うわけでもないのだが、北大路魯山人は食べ物の評論に関して実に公平であるとの印象を受ける。例えば、「明石鯛に優る朝鮮の鯛」という著作があり、有名な明石鯛よりも朝鮮で食べた鯛の刺身がはるかに美味いと書いている。こういうことはTVのグルメ番組ではまず言えないだろう。また彼は、猪や猿の肉はもとより、ヒキガエルを食した話なども書いており、食に対してよい意味で貪欲である。その北大路魯山人が茶漬けに関しても複数の著作で書いているのであるが、少なくとも私の読んだ「塩昆布の茶漬け」「納豆の茶漬け」「てんぷらの茶漬け」では、いずれも茶漬けを安上がりで美味なものとして書いている。
私の茶漬けは、主に昆布を使ったものであるが、納豆の茶漬けも一度試している。沢庵や柴漬けなど、漬物を使うこともある。基本的には、単純にご飯の上にその昆布なり納豆なり漬物なりを乗せ、上から熱い煎茶をかけるといやり方である。これが簡便かつ安価で食しやすいのである。
茶漬けというものは合理的であると言える。私は電気炊飯器で米を炊く場合、2合炊いて2,3回に分けて食べるのであるが、炊いて1回目を食べた後、余った米を冷凍するとか、炊飯器の保温機能を使って温かい状態を保たせるということはしない。炊けたらすぐ保温を切って、放置である。これは電気代的を節約する上で有効であるのだが、2回目あるいは3回目に冷えた米を食べるときが問題になる。このとき、熱い茶をかけて食べる茶漬けは実に良い。これまではラーメンを食べた後そのスープに入れて食べるとか、あるいは炒飯にして食べるとかしてきたが、茶漬けの方が簡便なのである。粥と違って煮ているわけではないが、熱いお茶でふやけた米は消化にもよかろう。これを昆布や納豆や漬物といった入手にも保存にもあまり困らない食材を使ってパパッと用意し、朝出かける前に食べるのが気に入っている。
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