カブの話

 私の友人は国立大学を修士まで出てからデイトレーダーになってしまったが、今回書くのは私が乗っているバイク、スーパーカブ (SUPER CUB)の話。

 2月程前まで、私はヤマハのビーノ (Vino)という原動機付自転車に乗っていた。詳しい型番は分からないが、50ccで2ストのビーノである。これは私の妹のバイクで、それを私が1年半程借りていたのだ。この2ストビーノは、2ストらしくパワフルで、エンジン音が煩いという問題はあったが、快適に乗っていた。しかし妹がこれを返せと言ってきたので、代わりの原付として新たなバイクを手に入れることとなった。それで選んだのがスーパーカブ70・デラックスである。

 私が最初にスーパーカブというバイクを意識したのは、はやみねかおる著の「怪盗クイーンと魔窟王の対決」(2004)という児童書を (発売当初に)読んだときである。この本の中で、主人公である怪盗クイーンが脱出用に用意するバイクが、スーパーカブ50・スタンダードなのである。本文では「燃費と頑丈さは世界一といわれる、名車中の名車。新聞や郵便の配達などで、世界じゅうを走りまわっている。」と説明されている。このイメージは私の頭にこびりつき、いつかバイクに乗るならスーパーカブがよかろうと思うようになったのは、この本の影響に依るところが大きい。4輪にしろ2輪にしろ、私にとっては道具としての機能が最も重要なので、その点でスーパーカブというのはまさに私が求めているバイクの姿であると言える。もっとも、金さえあればCBR250のようなカッコいいスポーツタイプのバイクに乗りたいという願望もあるのだが。

 私が手に入れたDX70は比較的状態が良く、泥除けも割れていないし錆もほとんど無かった。購入してすぐ前カゴとコンビニフックを付けたのだが、本体の古さでそれら新品のパーツが浮くということもない。冬に入ってはいるが今のところエンジンのかかりも良く、至極快適である。

 以前乗っていたVinoに比べて良い点は、静音性と積載量である。特に低速での静音性はかなり高い。私は朝早くや夜中に走ることもあるので、近隣住民に迷惑をかけないためにも静音性は望ましい。ただし3段変速で低速重視な配分になっているため、50km/hを超えるとエンジンの回転数が上がり大分音が大きくなってしまう。もっとも、50km/h以上出すのは大通りだけなので、下宿から大学へ行く程度の道であれば、そのようなスピードを出す必要もなく、静かに走行できる。積載量については、リアキャリアに10kg程度の肉を載せて走ったりもしているが、まったく問題ない。私はザックを背負って走ることがあるため、リアキャリアにボックスを載せるということはせず、純正のキャリアにゴム紐でくくって固定している。将来的には、テールランプの上まで伸びたロングリアキャリアに替えて、長さのあるものを載せたときの安定性を増したいと思っている。

 またVinoは50ccの原付一種であったが、70DXは70ccの原付二種なので、二段階右折と30km/h制限が無くなっている。これまで毎日のように通っていたルートにも、右折が可能になったお陰で遠回りせずに済む箇所があるので、これは非常にありがたい。50ccから70ccになったからといって、パワーが増大したという感覚は無いが、MTになったことで慣れてくると急な坂道や悪路を走るのもスクーターより楽になる。

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