サスガポリス

 バイト先からの帰り道、自転車で走っていてふと気づくと、少し前を警官が同じく自転車で走行していた。時刻は夜の10時過ぎ、寒いのに制服姿でご苦労なことである。道は細い一方通行の道で、私も警官も車の進行方向と同じ、東へと移動していた。警官はゆっくり目に自転車を漕いでいたので、すぐに追いついて抜かせるような感じだっただが、オマワリ抜くのも考えものだなぁ、と最初は思い、警官に合わせてペースを落として後ろを走っていた。しかし、ふと思いついたことがあった。このオマワリ、自転車だけど一時停止では止まるのだろうか?

 この一方通行な細い道には、当然のように各十字路ごとに一時停止の標識が出ている。自転車には罰則規定が無いとはいえ、規則としては自転車も一時停止で止まるべきである。というか十字路は死角になっていて普通に飛び出しは危ない。んで、よくよく思い返してみると、さっき通り過ぎた交差点ではオマワリさん、一旦停止したのだろうか?私は道端で吐いているオッサンを横目で見ていたので、オマワリさんのほうはちゃんと見ていなかったのであるが、感覚としてはどうやら止まっていないだろう、と思われる。んじゃまぁいっちょやりますか、と意気込んで私は行動を起こした。

 一気に自転車を加速させ、交差点前10mくらい手前でオマワリの自転車をぶち抜く。そしてギリギリのタイミングでブレーキ。ちょうど今日、タイヤの空気を入れたばかりの愛車は綺麗なスキール音を立てて停止線手前で停止した。さてさて、これで左側を走っているオマワリが停止線で止まらずに交差点へ突っ込んだりすれば、それは警察官としてやってはいけないことのはずである。善良な一般市民が交通ルールに則って自転車を漕いでいる横で、堂々と違反をするわけにはいくまい、くっくっくっ、どうなることやら……と思っていたのだが、左後ろのオマワリは、ゆっくり走っていたこともあり、普通に止まった。チッ、もう少しタイミングを遅らせるべきだったか、と後悔するが、仕掛けるチャンスは一度きりであった。前に出た以上、張り付かれては面倒なので、各交差点では一時停止しつつもオマワリを突き放し、こうして夜の一幕は終わりを継げたのであった。

 うん、あんまりおもしろくないな。

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