これが科学だ

 数年前のことであるが、当時小学5年生だった女の子と、あっち向いてホイをしたことがある。たとえ相手が自分 (大学院生)よりずっと幼い子供だとしても、ゲームに対して真剣に望む私は、その少女がジャンケンで出す手、そして顔を動かす方向、指差す方向を頭の中で分析していた。あっち向いてホイを続けるうちに (子供はこのような単純なゲームでも飽きにくいので、大人が飽きても続けようとする)、その少女には、ジャンケンで出す手に規則的な順番があること、さらに顔を動かす向きにも偏りがあることが分かった。結果、私の勝率は8割程度に達し、少女は非常に悔しがっていた (悔しがる幼女はなかなか微笑ましいものである)。観察を重ねることでパターンを会得しそれを実践する、というのは科学の重要な考え方の一つである。

 少女は自らの出す手や顔の動かし方に偏りがあることに気づいていない様子だったので、私は一通り悔しがらせた後、ネタばらしをしてあげた。小学生や中学生の時分だと特にそうだと思うが、物事を決める際、ジャンケンを用いるというのは日本において一般的である。ジャンケンで決めることの中には、当たり障りのないこともあるが、後々の人生を大きく変えるようなものも含まれる。一見公平に思えるこのジャンケンも、上の例から分かるように、相手の技量 (?)によっては勝率がevenにならない場合もあるので、私が教えてあげたことが、少女にとってこれからの人生で度々訪れるであろう勝負の時を不利な状態で迎えない助けになること願っている。

Post a Comment

Your email is never published nor shared.