最近観た映画やドラマ

・「八甲田山」(1977)
 画が美しい。そして高倉健がかっこいい。Wikipediaを読むと、実際の遭難事件(これは不明な点が多い)→新田次郎の小説→映画、と少しずつ脚色が施されているものの、ロケは実際の八甲田山で行われているらしい。物語の途中では、三國連太郎が演じる第31連隊の大隊長がとにかく悪い奴で憎たらしく思っていたが、最後の最後では自分の責任を認めた点で、男らしいと思った。この話の登場人物には、他人への悪感情から行動した人というのはほとんどいない。それでも、プライドとか、希望的観測とか、そういうものに押されて引き時を誤ったり、無理だと分かっていても上司に対する恐れから拒否できなかったり、と多くの人が失敗に陥る代表的なプロセスを描いているので、観たら色々考えさせられる。あと、案内人である滝口さわ役の秋吉久美子が素敵だな、と思った。

・「野性の証明」(1978)
 上と同じく高倉健が出演。こちらも次々と人が死ぬが、もっと暗くて陰謀渦巻く感じである。終わり方もスッキリする感じではない。頼子役は薬師丸ひろ子で本作がデビュー映画だそうだが、20代の私はエンディングまで気づかなかった。印象的だったのは、冒頭で、単独で奥山を渡り歩く訓練をしている途中の特殊部隊隊員が、ヘビを食べるシーンがあるところ。それも、焼いてとかじゃなく生で。うねうねしているところを真ん中からガブリといっていたのが凄かった。

・「バック・トゥ・ザ・フューチャー」シリーズ3作(1985,1989,1990)
 有名過ぎる作品だが、私は観ておらず、年始にNHKで一挙放送していたため、まとめて観た。基準となる1985年から30年前へタイムスリップする1作目を観て、「あぁ、でも今って1985年からもうすぐ30年後だよなぁ」なんて思っていたら、2作目では2015年へ飛んでいた(作中では2015年は車が空を飛んでる世界)。全体的にテンポが良く、笑える箇所の繰り返し(違う時代で同じパターンが起こる)など、分かりやすい面白さも多かったが、やはりもっとアメリカの歴史や言葉の文化について知識があればより楽しめたのではないかと思う。たとえば、主人公であるマーティーは”This is Heavy”というフレーズを何度も使うのだが、これは1985年には「えらいこっちゃ」(現代風に言えば「ムズい」「ヤバい」?)というような意味らしいのだが、1955年にタイムスリップしたマーティーがこの”This is Heavy”を使うと、周りの人間は「なんで重量の話をしてるんだ?」みたいな反応を示すわけだ。この映画が製作された当時、映画を観ていた世代なら、そういう点に関する知識もあっただろう(現代の日本人が時代劇を観ても理解できるように)と思う。時空移動モノとしては是非観ておくべき作品である。

・「剣客商売~剣の誓約~」(2013)
 昨年の年末に放送された時代劇。剣客商売は原作を全巻持っている私であるが、映像化されたものを観るのは初めてである。小兵衛役の北大路欣也は「八甲田山」では第31連隊の中隊長、神田大尉であるが、その頃からは35年も経っているわけだ。まず観て思ったのは、この北大路欣也の身長が高すぎるということ。Wikipediaによれば北大路欣也の身長は174cmで、成人男性として普通と思うかも知れないが、江戸時代の人間としては長身になるし、そもそも原作の秋山小兵衛は小柄なのである。原作1巻の冒頭で「ならんで立つと、大治郎の胸あたりへ、小兵衛の白髪あたまがようやくにとどく。」とかかれているようにだ。一応、秋山大治郎役には身長184cm(Wikipediaより)の斎藤工を当てているため、2人の間での大小に問題は無いが、できれば小兵衛は170cm以下、160台前半ぐらいが望ましいと私は思った。あとはとにかく、佐々木三冬役の杏が私のイメージには合わなかった。別に演技が下手だとかそういうことではなく、ただ単に私のイメージとは違っていた、というだけである。

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