瞬間解放式の特徴

 瞬間解放式はスライド型強制滑射方式と並び、競技用ゴム銃の機構としてよく採用されています。嶺上開花は偶然性が高いですが、瞬間解放は正確な射撃を可能にする機構です。瞬間解放式は基本的に2つ以上の可動パーツで構成されます。つまり、トリガーとリアフックは別々のパーツとなります。トリガーは通常状態では、リアフックが装填したゴムに引張られて動くのを止めており、トリガーが引かれてリアフックとの接点が無くなると、リアフックは押さえを失い、解放されて一気に傾きゴムを発射します。トリガーとリアフックの位置関係によっては、3つ以上のパーツを使って構成される場合もあります。ではなぜ、複数の可動パーツを必要とするこの機構が好んで用いられているのでしょうか。競技用ゴム銃における瞬間解放式の利点は主に以下の3つです。

  • リアフックがゴムをリリースするポイントを一定にできる
  • トリガーの引きを軽くできる
  • トリガーとリアフックの位置を自由に定められる

 1番目の利点についてですが、リアフックを前方に傾けて発射するタイプの強制滑射式では、ゴムとリアフックの間に働く摩擦の大きさやゴムの弾力にばらつきがあるため、ゴムがリリースされる時のリアフックの角度にばらつきがでます。それに対して瞬間解放式では、確実にゴムがリリースされる角度まで一気にリアフックが傾けられるので、常に一定の角度でリリースされることになります。この違いによって瞬間解放式は強制滑射式に比べ正確な射撃が可能になるとされています。

 2番目の利点はより明快です。トリガーとリアフックが一体の強制滑射式では、装填したゴムの力だけでリアフックが傾き発射されてしまうことがないよう、トリガーを引く方向とは逆の方向に、ある程度の力をかけておく必要があります。そのため、トリガーを引くときはその力の分だけ重くなります。しかし瞬間解放ではリアフックがトリガーを押す力の方向と、トリガーがリアフックとの接点で動く方向を垂直に近づければ、それほど強い力でトリガーを押さえつけておく必要は無くなります。なので、トリガーをより軽く引けるように作れるわけです。軽いトリガーは引くときに手と銃が震えるのを押さえ、正確な射撃につながります。

 最後の3番目は設計に関わる利点です。トリガーとリアフックが一体の強制滑射式では、両者(パーツとしては1つです)をあまり離れた位置にすることはできません。それに対して瞬間解放は、可動パーツを増やすことで、自由自在にトリガーとリアフックを配置できます。これは、装填がしやすいようゴム銃を設計するときに便利です。

 上記の他にも、瞬間解放の方が撃った感じが爽快である(あくまで主観)といった特徴もあります。なお、瞬間解放式は単発のみの機構ではありません。三角翼や四角翼に代表される回転翼の連発銃も瞬間解放式に分類することが出来ます。