はっきり言おう。オイルライターを使わなければならない理由など皆無に等しいと。
私は中学生のときに購入したZippoのライターを、10年以上使い続けている。と言っても喫煙者ではないので、アウトドア用途で年に数回、持ち出す程度である。私が持っているZippoは、ブルーチタンコーティングが施され、立体的な山女魚の飾りが付いた美しいもので、かなり気に入っている。購入価格はたしか2500円であった。純正の革ケースも所持していて、持ち出す際もケースに入れているため、今でも美品である。Victorinoxのマルチツール、マグライトと共に、私が中学生の頃から使い続けている道具の1つである。
Zippoに代表されるオイルライターには2つの大きな欠点がある。1つは燃料の匂いがすること。私は石油の匂いが嫌いではないので問題とは思わないが、喫煙者の中にはこの匂いを嫌って煙草への着火に使わない人も多いと聞く。もう1つは燃料の補充を頻繁に行わなければならないこと。私の使用用途、蚊取り線香やアルコールバーナーに着火する、あるいはロープを切る、といった程度であれば、オイルを補充してから1週間程度の旅程中、燃料切れで火が付かなくなるということはほとんど無い。しかしながら、オイルライターは燃料が揮発しやすいため、たとえ全く使っていなかったとしても、オイルを入れてから一ヶ月後に点火できるかは大分怪しい。ちなみに私は先日、部屋を片付けていた際、同じく中学生の時に購入した使い捨てのガスライター (電子着火タイプ)を発見したが、このライターは記念品として購入しておりほとんど使っていなかったため、当たり前のように火が点いた。というわけで、着火用として使うのであれば、オイルライターよりもガスライターの方が、利便性においても信頼性においても往々にして優れていると判断できる。Zippoのように風防を備えたオイルライターは、風があっても火が点けやすいと言うし実際そうなのだが、ガスライターでもジェットライターなら同じように風に強いので、アウトドア用途ではガス充填式のジェットライターがおすすめとなる。
では逆に、オイルライターの利点とは何だろうか。私が思いつくのは、火を点けっぱなしにしやすいことと、構造が簡単なこと、この2点である。普通のガスライターは、ボタンを押している間だけガスが出るので、火を点けっぱなしにするには当然のことながらボタンを押しつづけていなければならない。一方、Zippoのようなオイルライターは、一度点火すると蓋を閉めるか燃料が無くなるまでは火が点いたままである。スリム型のものはどうか知らないが、標準サイズのZippoなら平らな場所に置くと蓋を開けた状態でも立てられるので、例えばマグカップやシェラカップに入れた液体を温めるといった用途にも使用できる (長時間点火すると本体が熱くなるなどして危険な場合もあるので注意が必要)。あとこれは私だけかも知れないが、例えば少し湿度の高い環境で蚊取り線香に火を点ける時、なかなか着火しないという苛立ちの中で、ガスライターでは固いボタンを押しつづけていなければならない、というのは苛立ちを増す要因となる。よって火を点けっぱなしにしやすいというのはある程度価値のある特徴だと私は思う。次に2つ目の構造が簡単、という点についてであるが、もしオイルライターが着火しづらくなったとき、多くのユーザーはその原因をすぐに把握し、部品交換などによって解決することが可能であると思う。オイルライターには、燃料のオイル以外に少なくともフリント (着火石)、ウイック (芯)という消耗品がある。これは使いつづけていると必ず消耗するのであるが、これさえ交換すれば、大抵の場合、ライターとしての機能を果たしつづけることができるのだ。一方のガスライターは、そもそもメンテナンスフリーに作られていることが多く、ガスの噴出孔などに異常が出た場合は、ユーザーが自身で修理するのは困難である。
とここまで色々書いてきたが、実のところ何故私がオイルライターを使っているかと問われれば、オイルライターを持っているから、ということに尽きる。使う前の燃料補充とメンテナンスさえ苦にならなければ、Zippoのようなオイルライターは長期間使用することが可能なので、持っている以上それを使おうということになる。Zippo購入後、燃料充填可能なジェットライターを使用していた時期もあったが、何時だったかそのジェットライターは紛失してしまったので、今は手元にない。もし現在手元にあるZippoライターを失してしまうようなことがあれば、今度はジェットライターを買うかも知れない。
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