「そんなにカエルを駆除したいのか: 散歩道プロジェクト」(2008) – (1)
「それでもカエルを駆除したがる人々に告ぐ: 散歩道プロジェクト」(2009) – (2)
「カエルの駆除方法を調べて、結局どうした?: 散歩道プロジェクト」(2010) – (3)
「カエルを駆除しようと思う前に考えることはないのか?: そりゃあイケン」(2012) – (4)
今から、TAGAさんという方が書かれた上記の記事に対する反論を書く。上記4つの記事は、同じドメイン下に掲載されており、同一人物の書いた記事である。
まず初めに概観するが、これらの記事を書いているTAGA氏の主張は主に、「鳴き声が煩いとか、カエルが苦手だとかいう理由で、カエルを駆除しようとするのはおかしい」ということだと考えられる。これだけなら別にそこまで異論はないし、そもそも私はカエル好きである(ヘビの餌として大分殺しているが)。問題は、この記事を書いている人があまりに無知で、カエルはもちろん、自然というものを語るのに必要な知識を持っていないことだ。しかもその上で、他人に対する批判を痛烈にしかも繰り返し行っている点にある。以下、上記の記事で間違っていると思う点をいくつか挙げる。
1. (4)より
色々なご意見をいただくようになるが、的外れなものも多い。「外来種のオオヒキガエルなどの駆除はむしろするべきだ」とか、「人に危害を加える生き物を駆除しないのか?」などが代表的なものだろうか。私の文章をよく読んでいただければわかるのだけど、別に外来種であったり人に危害を加えるような状況があったりして、駆除が必要な場合の駆除をこれっぽっちも否定していない。しかし、考えて欲しいが、そもそも、人や生態系に害を及ぼすほどのカエルとか、外来種カエルに悩まされている地域が日本の何パーセントの地域なのだろう?それは例外というでしょう。そんなことに対して言っているわけではありません。わかるでしょう。お願いしますよ。ホント。
→この人はどうやら、ウシガエルの生息域がどれだけ広いか知らないらしい。あるいは、ウシガエルが外来種だと知らないのかも。やつらの鳴き声の大きさと、どんなもんを食ってるかと、どれだけ増えてるかを知っていれば、上記のような文章が書けるはずはない。「カエルの生態に詳しい立場から一緒に考えて差し上げますよ。」[(4)より]などとまぁよくも上から目線で言えたもんだ。
2. (1)より
検索していくうちに、どこかの大学が、そこに本来住んでいないカエルがいたから駆除しようとしているということもあるらしい。彼らの主張としては、そのカエルたちとの生存競争で在来のカエルが負ける、すなわち絶滅する可能性があるから、というが、そんなことはまずない。あり得ない。これは確信をもっていえる。ある種のカエルが増えすぎて、ある種のカエルが減ることは、まずない。あり得ない。これは私の長年の観察からわかる。踏みつけそうになるくらいのアカガエルと同じくらいのアマガエルは共存しているし、姿はあまり見えないが、それと同じくらいのヒキガエルも、シュレーゲルアオガエルもいる。彼らは本当に普通に歩いていて踏みつけそうになるくらいいても、餌に困ることもないし、むしろ、沢山いると、天敵に襲われても、全て食べつくされることがなく、生存する可能性が高くなる。天敵は、もともとそこにいたカエルだから食べるとか、そこにいなかったカエルだから食べないということはない。要するに、どこにどれだけの根拠をもって、そこにいないカエルが本来そこにいたカエルを脅かすといっているのかわからないが、おそらくたいした根拠はないと思う。そこに本来いなかったカエルが増えてきた、という事実を把握しているのみである。そもそも、何故生息していなかったのかといえば、生息に適さなかったのであり、そうであれば、本来生息していたカエル(すなわち生息に適しているカエル)に打ち勝ってそこで優位になるということも考えにくい。だいたい、自然に改変を加えようとしているのであるから、それなりの根拠を示した上で、多くの人が客観的に見て、「正しい」と合意できるものでなければ、到底許されるものではないと思う。間違ったことをして、「うまくいきませんでした。事態はおかしなことになって、とりかえしがつきません」ということになったら、誰がどう責任をとるのだろう?無責任にも程がある。
→無知にも程がある。カエルがカエルを食うことだってあるんですぅ。1.で引用した文章とも矛盾する。まぁ確かに、外来種問題に関しては、駆除の必要性を十分な妥当性を持って説明できていない場合もある。しかし、小さな空間的スケール(カエルで言えば、1つの池とか)で見れば、人為的に持ち込まれた種が在来種を駆逐した例はいくらでも存在するし、私の知っている池でも、ウシガエルしかいない池というのがある。ニッチとか、そういう生態学の用語も多分上の文章を書いた人は知らないのだろう。ちなみに、田んぼ、あるいはその周辺で多いカエル(TAGA氏が好きらしいアマガエルもそう)というのは、稲作という人間活動によって個体数を高く維持しているのであって、人間活動が無かったと仮定した場合、その個体数は今より少ない可能性もある。補足しておくと、TAGA氏はこの記事のコメント内で、「(人為的に持ち込まれたのか、自然に移動したのかわからないような)在来種に対して、根拠が乏しい中で、駆除しようとしている事についての批判でした。」と書き加えているが、本当にそうなら記事自体を書き換えるべき。あと、TAGA氏が読んだ記事がどんなものか分からないが、一般にこの手の問題には、カエルだけじゃなく、カエルと食う食われるなどの関係を持つあらゆる生物が関わってくるので、非常に複雑な話になる。その中で、あらゆる生物間の相互作用を理解し、人間活動の影響を考慮した上で、多くの人を納得させる根拠を示すなど、短期間ではまず不可能。そういう状況下で、とりあえず侵入種を排除する、というのは妥当だと私は思う。
3. (2)のコメントより
人類は何万年とカエルと共存してきましたが、一部の有害なカエルや、人為的に持ち込まれて自然に危害を加えるようなカエルを除いて、ふつうに日常的に存在するカエルを駆除しようと思う試みは人類史上一度もなかったことです。
→駆除ではないが、中世のフランスで導入された「かえる税」として知られるものが人類史にはある。知らなかったら検索したまえ。カエルの繁殖行動を妨げているので、駆除に準ずる試みと思われる。
4. (3)より
今、全国でうるさく鳴いているのは、ほぼ間違いなくアマガエルだ。「カエル駆除」で検索してくる人の99%はアマガエルを駆除したいと思っているはずだが、そのうちの99%の人は、アマガエルの鳴き声もシュレーゲルアオガエルの鳴き声もカエルの鳴き声を区別できないはずである。
→や、ヤバい……。腹が捩れる……。99%もアマガエルなわけないだろ。確かにアマガエルが一番身近なのは否定しないけどさ。
5. (4)より
カエルだけではない。ごく普通に身近にいる生き物がどんどん姿を消している。だいたい、そのような場合、ある地域でどんどん数が減り、その地域で絶滅し、絶滅した地域がどんどん増えていき、最後に「ああ、もう、ここにしかいないじゃないか!」という状態になる。たいてい、世間一般の人々はその最後の「ああ、もう、ここにしかいないじゃないか!」の状態になってようやく騒ぎ出すのだ。実際には私はカエルをずっと見てきたので、身近なカエルが、今まさに、その順番に絶滅への道を歩んでいることがよくわかる。
→これは別に間違ってないが、2.で取り上げた文章を書いた自分を思い出して欲しかった。
6. (4)より
何度も何度も繰り返し言わなければわからない人がいるから言うが、私が問題にしているのはずっと一貫して、「カエルの声がうるさいとか、カエルが気持ち悪いとか、そういうだけの理由で、駆除剤のようなものを撒いたりしてカエルを駆除したいと考える人々」のことだ。これについてあなたは「問題ない」と言えますか?
→問題ないと言える。少なくとも法的に問題のある方法(違法薬物、不法侵入など)を使わない限り。個人が自宅の庭にいるカエルを駆除したいと思って実行するのは自由である。他人にとやかく言われる筋合いは無い。そもそも、現代的な住宅に住んでいる時点で、人間は居住空間といわゆる”自然”との間に文字通りの壁を作っている。いくら私がゴキブリ愛好家でも、下宿の中を自由にゴキブリが歩き回っているという状況は好ましくないと考える。カエルだって家の中に入り込まれたら、どこかの隙間で死んでしまう可能性が高いし、そうなると腐敗臭がして非常によろしくない。確かに私も化学物質を用いた駆除はなるべく避けるべき、という意見で、実際、自分で殺虫剤を使うことはほぼ無いが、それでも使っている他人を批難したり、殺虫剤のメーカーを憎らしく思ったりはしない。
7. (1)のコメントより
蚊は、人間に害を与えます。カエルは鳴き声はともかく、何か害を与えるでしょうか?それから、害を与えるのか与えないのかわからないけど、気持ち悪いから駆除したいという人もいるのです。
→害を与えるから殺していい、害を与えないから殺しちゃだめ。これは人間本位の考え方で、私は反対しないが、TAGA氏が繰り返し書いているエコの精神とやらには矛盾する。それに「気持ち悪い」というのも立派な害で、不快害虫という語もある。蚊だって少なくとも今の日本では病気の媒介はほとんど無いし、羽音が煩くて、刺されたら痒いだけである。害があるかどうかは個人が判断することだ。私は屋外で寝て蚊に刺されまくるなんでまっぴらごめんなので、”自然”に生息する生物を排除した空間である家の中で寝るし、場合によっては蚊取り線香を使うことだってありうる。
以上、とりあえずこれらの記事におけるTAGA氏の文章は読んでいて非常にイライラするので、長々と批判を書いてしまった。元の記事も相当長いので、私の記事内に該当する部分を抜き出して載せるという手法を取ったが、引用の範囲は超えていないと考える。まぁ、生物の保護や人間との関わりについて考える上で、読んで損はない。各記事につけられた様々な人のコメントもなかなか面白いのがある。
どうやらTAGA氏はアクセス解析などもマメに行っているようなので、私の書いた記事もすぐに見つけると思うが、私の反論にさらに反論したい場合は、ご自身のサイトに内容を掲載した上で、この記事へのコメントか、メールで知らせてくれたら、私もすぐ読むようにしたいと思う。
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