猟奇的な私

「ふぅ……」
12月も終わりに近づいたある日の深夜のこと
駐輪場に自転車を停め、マンションの廊下に入ったが私が見つけたのは、寒さに震える彼女だった
「そんなところにいたら、風邪をひいてしまうよ」
いや、風邪どころでは済まないかもしれない
彼女の命の灯火は今にも消えてしまいそうな、そんな感じがした
「おいで、狭くて散らかってるけど、僕の家に来なよ」
目の前で凍えている彼女を放っておけないと思った私はそう言った
下心が無かったと言えば嘘になるが
彼女は「うん」とは言わなかったが、抵抗することもなく、私に連れられて部屋に入った

暖房をつけていないので、暖かいとは言えない
だが、風が吹きすさぶ廊下よりは幾分かましだろう
私はまず、同居人に彼女を紹介することにし、彼女を同居人の部屋へと案内した

暗闇を好む同居人は、私の帰宅に築いて物陰に隠れようとしたが、私が連れて来た彼女に興味を示したのか、振り返ってこっちを見た
ところが同居人の部屋へ彼女を入れた瞬間、彼女はいきなり暴れだしたのだ
出口を求めてもがくように、必死に、壁にぶつかりながら
驚いた私は、急いで同居人の部屋の扉を閉めた
同居人には悪いが、このまま彼女が私の部屋で暴れてもらっては困る
肉食系と言われる同居人であるが、性格は臆病だ
突然現れ、そして同じ空間内で暴れだした彼女に対する同居人の反応は、関心から恐怖に変わっていた

訳が分からなかった
なぜ彼女はそこまで暴れるのか
なぜ私の大事な同居人を怯えさせるのか
困惑は次第に怒りに変化した
とりあえず私は、彼女が暴れるのを押さえるため
彼 女 の 脚 を 切 り 落 と す こ と に し た
弱々しい彼女の体、胴から脚を切り離すのに、さして労力は必要なかった
私は、一本、また一本と切り落としていった

同居人の部屋には無惨な彼女の脚が転がった
脚を切り落とされてもまだ、彼女は出口を求め暴れていた
遥か上方の天国のみを見つめているかのような必死さで
だがもうどちらが出口なのかも分からないのだろう
彼女はついに力尽きた

そんな彼女に、同居人はもう何の興味をも示さなかった
残念だ
私は彼女を、同居人の一部にしようと思って連れて来たのに

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