アセスバイトの途中で読もうと思って本を2冊買っていたのだが、バイト3日目に読み終わったのが森博嗣 作の「地球儀のスライス」という短編集。かなり雑多な10作が納められていて、「すべてがFになる」で始まるS&Mシリーズの短編も2作含まれている。しかし今回書きたいのは本編についての感想ではない。この本に付いている「解説」についての感想である。私は普段、本の後ろに着いている「解説」を意識的に読まないようにしている。作者自身による「あとがき」ですら目を通さずに本を閉じることもある。それはなぜかというと、自分で読み切った本の価値は自ら見出すものであって、他人に解説してもらう必要は無い、と信じているという理由と、本編以外を読むことで少なからず気分を害した経験があるためだ。しかしこの「地球儀のスライス」に付いている解説は良かった。冨樫義博さんという方(名前を見て作品が思い浮かびはしなかったのだが、調べてみるとタイトルはかなりよく目にする作品を描いておられる漫画家らしい)が書いているのだが、この解説では個々の作品について、ああだこうだと書いてはいないのだ。最初にお勧めの作品を3作、そのタイトルを挙げているだけなのである。どう面白かったかとか、ここが興味深いとか、一切書いていない。そしてあとは「理系」とは何か「文系」とは何か、というテーマで作品とは直接関係ないことを書いている。こういう解説なら、作品に対する自分と真逆の意見を読まされて閉口することも、余計な情報を与えられて楽しみを奪われることもない、そういう点でこの解説は素晴らしいなと感じた。
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