LinuxでHandBrakeを使い動画をPS VITA用に変換する

執筆日時:2011/12/19

 動画をPS VITAで再生するのに最適な形式へと変換する作業をLinux上のHandBrakeで行います。使用するのはOSがUbuntu Linux 10.04 LTS 64bit、そして動画のエンコードにHandBrake 0.9.5です。

 HandBrakeのインストールから使い方、特に設定ファイルのインポートなどについては、以前に書いた「LinuxでYouTubeの動画をPSP用に変換するまで」を参考にしてください。

 それで、基本的にはこの記事でも前回と同じく細かい説明は省いて私が作成した設定ファイルを置いておくだけにしたいと思うのですが、実はこの記事を書いている時点で、既に他のサイトにてHandBrakeでPS VITA用の設定ファイルを配布しているところが存在しています。「PS VITA 情報 | paraches lifestyle lab.」(外部サイト)というところです。Windows上でDVDやBlu-rayのソースから動画をPS VITA用に変換する過程については、このサイトが詳しいので参考にするといいでしょう。

 しかし、肝心のHandBrake用の設定ファイルはというと、上記のサイトで配布されているのはHandBrakeにデフォルトで用意されているiPhone 4用の設定ファイルと同じものです。確かに、iPhone 4用の設定でPS VITA向けの動画に変換できると言えば出来るのですが、それだけではおもしろく無いので、私がデフォルトからさらに設定を詰めて、出来た動画のファイルサイズが小さくなるようにしたものを配布します。下のリンクからダウンロードしてください。

PS VITA.plist

 ここから先は、私が作成したPS VITA.plistと、デフォルトで用意されているiPhone 4.plist(上記のサイトではHB_Export_PS_VITA_Bluray.plistのファイル名で配布)の差異を比較しています。エンコードを行ったときの平均FPS(数値が高いほどよい)とファイルサイズ(値が小さいほどよい)を3つの動画ファイル(いずれも90秒程度で元の動画はh.264/AACの720p, 16:9の動画)でそれぞれ比較しました。ただし繰り返しは行っておらず、いずれも一度切り行っただけのデータです。

Movie AMovie BMovie C
PS VITA37.5544.0043.31
iPhone 438.1144.7244.63

↑これがエンコードの際の平均FPS。ちなみに、CPUはPhenom II x4 945を使用しています。これを見ると、当サイトで配布している設定ファイルを使った方が、3種全てのファイルにおいて若干ですがエンコード速度が遅くなったことが分かります。ただし、数値を見れば分かるように、言うほどの差ではありません。

Movie AMovie BMovie C
PS VITA29.418.621.0
iPhone 431.519.421.6

↑こちらはファイルサイズ、単位はMBです。こちらは逆に、当サイトで配布している設定ファイルの方が有能であることを示しています。いずれの動画に関しても、iPhone 4向けデフォルト設定より低いファイルサイズとなっています。しかも、PS VITA用に私が作成した設定ファイルでは音声のフォーマットにおいて、ビットレートをiPhone 4用が160kbpsなのに対し、256kbpsに設定しています。

 上記の結果を考えると、十分なCPU処理能力を持ったマシンで動画の変換作業を行うのであれば、当サイトで配布している設定ファイルの方が良いと言えます。コンピュータ向けのHDDは随分と値段が下がっているので以前よりも圧縮の重要性というのは言われなくなっていますが、搭載ストレージ容量の限られるモバイル機器においては、ファイルサイズこそ重要であるからです。また、PSPより音質が向上した(少なくとも私はそう思います)PS VITAでより高音質で動画を鑑賞したいとういこだわりにより、デフォルト値からオーディオのビットレートを変更しているのもポイントです(もっとも、これは簡単に調整可能なので、各人が行えばいいと思います)。