LinuxでYouTubeの動画をPSP用に変換するまで

執筆日時:2011/06/03

 今回はYouTubeから動画をダウンロードし、それをPSPで再生可能な形式に変換する一連の作業をLinux上で行います。使用するのはOSがUbuntu Linux 10.04 LTS 64bit、動画のダウンロードにyoutube-dl 2010.04.04を、そして動画のエンコードにHandBrake 0.9.5です。

1. YouTubeから動画のダウンロード

YouTubeで動画を探す

 動画共有サイトから動画をダウンロードというとなんやら違法臭い匂いがプンプンしますが、別に違法にアップロードされたものでなければ問題ありません。個人が製作してアップロードした画像、企業が公式で出しているPVの類、それらは著作権法を侵害しているわけではないので、アップロードして公開されている以上、ダウンロードするのも問題ありません。ただし、ダウンロードした動画を自分のアカウントでアップロードしたり、動画に変更を加えたものを公衆送信するのはダメです。

 今回、一連の作業を紹介するのに利用する動画は、Lantisが公式でアップしているPVです。麻生夏子さんのPV Full VersionをダウンロードしてPSP用に変換していきます。YouTubeなどの動画共有サイトから動画をダウンロードするツールは非常に数多くのものが作られていますが、Linux上で使えるものでもっともシンプルなのは、youtube-dlでしょう。Ubuntuであれば、

# sudo apt-get install youtube-dl

とタイプするだけでインストールできます。もちろん、右図の用にUbuntuソフトウェアセンターからのインストールも可能です。そして使い方ですが、これも非常に簡単で、

# youtube-dl url

youtube-dlをUbuntuソフトウェアセンターで入手する

と打つだけです。urlのところには動画のアドレスを入力します。本当は指定可能なオプションがそれなりの数あるのですが、今回は使う必要がないので割愛します。必要な人はmanで調べて下さい。

youtube-dlの使用状況

 ところで、この動画のURLですが、ここには動画を再生しているページのアドレスを入れてはいけません。Firefox 4だと(?)YouTubeの動画の上で右クリックして出てくるメニューの中に、「Copy video URL」というものがあるのでこれを選択してコピーしたURLを張り付けて使用します。あとはEnterを押すだけでダウンロードが開始されます。オプションを何も指定していなければ、ダウンロードされた動画はホームディレクトリに保存されるはずです。動画のファイルサイズに依りますが、ある程度時間がかかるのでじっと待ちましょう。あと、このプログラムは端末上できちんと終了しない(?)場合が多いです。でも100%完了とさえ表示されればダウンロードは終了しているので端末ごと閉じてyoutube-dlを終了させましょう。

2. PSP用に変換する

HandBrakeで動画ファイルを開いたところ

 次は動画をPSP用にエンコードする作業です。ここでもffmpegを端末から使ったりできればカッコいいのですが、残念ながら私にはそこまでの技術が無いのでGUIを備えたアプリケーションを使います。WindowsやMacOSXでも使用可能なHandBrakeです。Ubuntuの場合、HandBrake本家のサイトのダウンロードページにPPAを追加してインストールする方法が書いてあります。早い話が次のコマンドを打つだけです

# sudo add-apt-repository ppa:stebbins/handbrake-releases

としてPPAを追加し

# sudo apt-get update

アップデートし

# sudo apt-get install handbrake-gtk

インストールします。

HandBrakeの設定画面

 HandBrakeが立ち上げられたら、まずは「Source」ボタンを押して変換元のファイルを選択しましょう。先ほどダウンロードした.flvか.mp4ファイルを選択します。んで、ここからが本来大変でPSPで再生可能なコーディックの設定を試行錯誤しながら色々いじらなければならないのですが、それを解説するのも読むのも手間だと思うので、私が作ったPSP用の設定ファイルを用意しました!PSP.plistをダウンロードしてHandBrakeに読み込ませれば、PSP用のテンプレート設定が使えるようになります。このテンプレートはLinux版に限らず、WindowsでもMacOSXでも使えるはずです。

 HandBrakeへの読み込ませ方は、まずzipを解凍し、出てきたPSP.plistをHandBrakeの画面右下にある「Option」→「Import」として開くだけです。あとはこのテンプレートを選択した状態でファイルの保存先・ファイル名を指定し、ウィンドウ上部の「Start」を押せばエンコードが開始されます。これで、PSPで再生可能なH.264 Main Profileの動画になるはずです。この設定ファイルをもっといじりたいという場合はそうしてもらって結構なのですが、このMain Profileという枠から外れた設定をすると、PSPで再生できなくなりますので。

GNOME Mplayerで再生してみる

 あとはMplayerかなんか使ってPSPのディスプレイサイズである480*272pxの動画になっているか再生して確認してみれば作業としては完了です。PSPをUSBでコンピュータと直接繋ぐかMS DuoとりだしてそのなかのVIDEOフォルダに投げ込めばPSPで再生できるようになります。

 それから、今回ダウンロードした動画ではテンプレート通りの設定でうまい具合に変換できますが、YouTubeに上がっている動画の中にはアスペクト比の設定がおかしなものがたまにあります。そういう動画がうまく変換できない場合には、HandBrakeの上部にあるメニューのうち「Picture Settings」から調整を行って下さい。「Keep Aspect」のチェックを外して手動で設定してやれば大丈夫です。