競技

競技についての正確な情報は「日本ゴム銃射撃協会公式競技」(外部サイト)を参照して下さい。

各競技の特徴と基本的な射撃技術について書いていきます。

マッチボックス / フライシュート / コインペンドラム

◆ マッチボックス -Match Box- (MB)

  • 的数:5、弾数:5、時間:5分、ラウンド数:5
  • 満点:25点
  • 距離:1.6m
  • ターゲット:30mm×40mm
マッチボックス

<概論>

 現在では24、25点も珍しくなくなり、ほぼ攻略され尽くしている種目と言えます。片がけをして細いバレルもしくはピンホールドを用いれば、1.6mでこのサイズの的に当てるのはそう難しくないでしょう。あとはいかにミス無く25発当てられるかですが、これは毎回同じようにリリースできるゴム銃の精度と、ばらつきの無いゴムの選択、そして射手の集中力にかかっています。3種目の中ではターゲットまでの距離がもっとも長く、また精密射撃になるので、銃身の長い銃が使われる傾向にあるようです。

 総合で100点を超える得点の方が多い中で、満点25点というのはそれほど点数的な割合が高いわけでもなく、また上位層では20点以上が一般的になっているので、有意な差も出にくい状態です。正直なところ、MBで何発かミスしてもCPの点数が高ければ気にならなくなる程度です。

<練習>

 距離は2.0m、的のサイズはそのままで10個ぐらい並べ、端から撃っていきましょう。リズミカルに撃ち落としていく方が楽しいですが、競技会の前に練習するときなどは、なるべくゆっくり照準を定め、確実に当てることを第一にして練習するのがいいと思います。余談ですが、大学入試ではマークシート方式のセンター試験が一つの関門です。このセンター試験の勉強法で私が提唱しているのが、「時間が余る教科はなるべくゆっくり解き、時間が足りない教科は規定の時間より短い時間で解く」というものです。大体の基礎知識を身につけた後で、過去問や模試で演習を行う際に使う方法ですが、センター試験で問われるのは「基本的な問題をいかに確実に解けるか」であり、その中で「時間が余る教科」はMBと共通するところがあるように思われます。せっかく時間に余裕があるので、装填して構えてから発射まで5秒くらいは使ってもいいのではないかと思います。

<競技>

 後述するFSとも共通する点がありますが、実際の競技で少しでも確実に当てるため、銃の性能や照準能力以外にできることがいくつかあります。

 まず第一に、装填するゴムを選別しましょう。ゴムは最初から個体差があり、しかも撃つたびに確実に劣化します。実際の競技会では新品のゴムも置いてあることが多いですが、全部新品で撃っていたらコストが高くなりすぎるので、普通は散らばったゴムを回収して使います(中にはマイゴムを持参される方もいますが)。なので、用意されているゴムには大きなばらつきがあるわけで、劣化の激しいゴムを装填しようとすると、ゴム切れが発生することもあり、時間のロス(特にFSやCP)となって、さらには集中力を切らしてしまう原因ともなりえます。ゴムの選別は慎重に行う必要がありますが、私が行っている選別はそれほど難しいものではありません。指でつまんで軽く引張ってみるだけです。下の写真のようにゴムの一部が毛羽立っていたり、切れかかっていたりするものは、練習用にはまだ使えるかもしれませんが、競技には使いたくないものです。

ゴムのチェック1 ゴムのチェック2

 さらに細かく言うと、ゴムの張力は弾道に大きく影響するので、なるべく伸び具合の一定なゴムを選別したいものです。普段の練習用に使っているゴムと競技で使うゴムの種類が違うと、発射されたゴムの跳ね上がり具合に差がでることになります。これは競技前の練習で感覚をつかんで対処しましょう。実際に装填するゴムを選別する際には、伸びきってしまっているゴムを除ければいいと思います。

 第二に、銃にゴムがきちんとかかっているか確認しましょう。MBなら発射前に毎回点検する時間はとれるはずです。もしゴムがフロントフックやリアフックに普段通りにかかっていなければ、照準から大きく外れて飛んで行ってしまい、高い確率で外すことになります。

 第三に、撃つ時は的の正面、的に最も近い位置に移動しましょう。中央の位置から動かずに撃たれる方がいますが、的の正面に移動して撃つ方が確実に当てやすくなります。これを面倒に感じてしまうのはもったいないことです。なお、実際の競技を見ていると、データムラインゲージを超えた状態で撃ってしまっている方がけっこうおられます。あまり厳しくチェックされることはないようですが、競技の公平性を保つためにも、撃つ前にしっかり超えていないか確認して撃ちましょう。

 最後に。とにかく時間はあるので、自分のペースで撃つのが大事だと思います。一度構えた状態に入っても、何かおかしいとか、緊張しているとか、不安に思うことがあれば、もう一度ゴムを装填するところからやりなおしてもいいんです。深呼吸して、急がず焦らず落ち着いて、確実に当てにいきましょう。

◆ フライシュート -Fly Shoot- (FS)

  • 的数:5、弾数:無制限、時間:30秒、ラウンド数:5
  • 満点:50点
  • 距離:1.0m
  • ターゲット:5mm×5mm×10mm
フライシュート

<概論>

 MBと同じく精密射撃で静止している的ですが、圧倒的にサイズが小さく、しかも時間制限が厳しい競技です。MB程ではありませんが、満点もそれなりに出ています。総合上位の方だと45点以上か低くても40点前後の得点が多いようです。使われる銃はMBと共通か、MBより少し銃身の短いものが好まれる傾向にあります。また、精度以外にも、素早く滑らかなゴムの装填ができる銃であることも重要です。銃の性能も高いものが求められますが、射手の照準を合わせる能力もかなり重要です。

 外すと-1点という点数評価のため、集中力を切らして続けざまに外したりすると、あっという間に得点を失います。満点50点の配点は小さくは無いです。CPで僅差の得点なら、FSで総合順位が決まることもあるでしょう。

<練習>

 距離は公式と同じ1.2m、10個ぐらい並べて撃っていきましょう。もちろん、最初はゆっくり自分のペースで撃って練習すればいいのですが、ある程度当たるようになってきたら、一定のサイクルで撃てるようにしましょう。サイクルの間隔は、ずばり5秒です。この間に一連の流れを確実に行えるようにしなければ満点は狙えません。構えるまでの時間をいかに短くするかが重要です。照準に当てられる時間を長くすれば的に当てやすくなります。ここで5秒としたのは、外したときにもう1発撃てる余裕を作るためです。5発撃って1発外せばそのラウンドの点数は7点ですが、もう一発撃って当てられれば9点になります。そして、満点を狙えるような段階に入れば、1ラウンドで7発撃つなどということは考えなくてもいいので、6発撃てる5秒間隔射撃が基本になるのです。

<競技>

 練習と同じように5秒間隔で撃ちます。このリズムを大事にしましょう。MBと同じように、ゴムの選別や的の正面へ移動するのも大事です。ゴムのばらつきはMBより結果に影響がでやすいです。ラウンドを始める前に、6発分ゴムを選定して用意しておきます。いちいちゴムのかかりを確認する余裕は無いと思うので、装填動作への慣れでカバーできるようにします。

 外した場合、次にどの的を狙うかですが、これは好みでいいと思います。私は外した的は直後にもう一度狙うようにしています。どちらにせよ、どうするか予め決めておくといいと思います。ただし稀な事例として、主審と副審の判定に相違があり、最初に発せられた判定(「まる」「ばつ」や「当り」「外れ」等の声)が覆されることがあります(どちらか一方でも当たったと判定すれば、当たったことになることが多いようです)。このような微妙な当りの場合、的が殆ど動いていないことが多いので、競技者がそれに気付かずにもう一度同じ的を狙ってしまう場合があります。このようなときは発射したゴムの命中如何に関わらず、失中となってしまうので注意が必要です。

 満点を狙いにいく気合いで臨んでいると、外したときに動揺しやすいです。自分のペースをあげてまで弾数を撃つ(5秒間隔ならあとから慌ててサイクルを縮め7発以上撃つこと)のはミスにつながりやすいので、避けた方がいいと思います。6発目を撃つ場合でも同じサイクルで、落ち着いて撃つことが大事です。

◆ コインペンドラム -Coin Pendulum- (CP)

  • 的数:1、弾数:無制限、時間:60秒、ラウンド数:3
  • 満点:無制限
  • 距離:1.2m
  • ターゲット:5円玉
コインペンドラム

<概論>

 私自身があまり得意としない種目なので、書けることはあまり無いのですが、多くの競技者にとって今もっとも攻略が課題とされている種目であることは間違いないでしょう。得点も0点(暴発による減点除く)から最大で90点近くまでと、非常に大きくばらつき、順位に大きく影響する種目と言えます。しかも、競技毎の得点にもかなりのばらつきがでるようです。

 使用されるゴム銃にも個人により大きな差異があります。発射されるゴムの弾道はまっすぐであることに越したことはありませんが、動く小さな的に制限時間内にできるだけ多く当てる、というCPの競技では、的付近に到達した時のゴムの広がり具合というのも重要になってきます。ゴムが点に近い状態よりも、線や面に近い形状の方が当たり判定の範囲が広がるからです。また、それゆえに一般的には銃身の短い銃が好まれるようです。

<練習>

 この種目も距離感を正確につかむことが重要なので、実際の競技と同じ距離で練習します。この競技では、装填と構えにかかる時間をいかに短縮するかが非常に重要です。実際の競技で3ラウンドも行えば、一度くらいはゴムをかけるのに失敗して焦るということが起こるものです。毎ラウンドで発射するゴムの数が同じになるというのは流石に難しい気もしますが、それくらいを目指して練習しましょう。

<競技>

 この競技で思いに留めておかないといけないのは、判定が非常に難しいということです。的は中心点が動くだけでなく、回転運動もしているので、かすった程度では、競技者も審判も当たったかどうか分からない場合が多いです。こればっかりは仕方ないので、審判を信じてとにかく撃ちまくりましょう。