イラスト制作に向いているマウス

 私はこれまでペンタブレット(通称:ペンタブ)を使用した経験があまり無い。中学生のとき部活で使ったのと、たまに店頭で触ってみる程度である。コンピューター上で絵を描くにはペンタブが必須だと思っている人も多いだろうが、私は特に必要を感じていない。それというのも、私は基本的にドローソフトを使用してイラストを制作しているからである。もちろんペイント系ソフトでもパスツールを使って描画すれば、マウスでも滑らかな線を容易に引くことができる。ペンタブが本来の力を発するのは、線を引くという動作よりも、塗る作業の方だろう。それもべた塗りではなくブラシでタッチがどうのこうのという話になるときだ。少々強引に定義するなら、ペンタブというのはコンピューター上で絵を描くという作業に、実際に筆で紙に書く様な動作を持ち込むためのツールである。よって、べた塗りな絵を描く限りペンタブの出番は無いと言っても過言ではない。まぁ実際には私も、ベクターで描いたものをラスターに出力してからレタッチする段階で、境界をぼかしたりするのにブラシワーク的なことをしているので、全くいらないことはないのだが、自分が慣れていないことと、あと値段が高いということが導入を阻んでいるのが実情である。

マウスを選ぶポイント

 それで題の通りマウスの話に入りたいと思うが、先に結論を述べるなら、ワイヤレス、レーザー、そして重量がキーワードで、あとは手になじむものがよいと思う。

 まず、有線か無線かということであるが、今のところ私には有線マウスのアドバンテージは皆無に思える。せいぜい値段が安いということだけだけであるが、安いと言ってもたかが知れた程度である。現在においてワイヤレスが手が出ない程高いなどということはないだろう。無線の方が動作の自由度が高いし、デスクトップ上に這い回るケーブルを一つ減らせることを考えれば安いものである。加えて、ワイヤレスのマウスは一般に電池を内蔵していることも重要である。これは後に述べる重量にも関係してくるが、電池の内蔵によりワイヤレスマウスは同形の有線マウスに比べて重量が重くなるからである。

 次にマウスの目とも言える位置の読み取り装置であるが、現行では大きく分けると、ボール式、光学式、レーザー式の3種類がある。このうちボール式は論外である。ポインタを重い通りに操作できないことがあることと、ボールを回している都合上、マウスの動きが重くなるからである。次に光学式であるが、これは最近では改善が見られるものの、マウスを置く台の材質によっては正確に読み取れない、もしくはまったく読み取れない場合がある。レーザーならその点、光学式よりも読み取り能力が高いと言えるだろう。マウスをひっくり返して直接覗き見でもしない限り、危険も無いであろうし。よってレーザー式がお勧めである。

 最後に重量であるが、これは好みの問題である。が、私は重量のあるマウスの方が好きで、軽いマウスよりお勧めである。モバイル性を重視するなら小型のマウスという選択肢もあるだろうが、腰を落ち着けてじっくり作業するなら、大型で重量があるマウスの方が動かした感じに安定感があり効率が上がると私は考える。私がCG用に使用しているマウスはLogicoolのLX-8BLとAppleのMighty Mouse Wirelesであるが、重量は134gと138g(使用する電池により若干の前後がある)とどちらも100g Overの重量級マウスである。両方のマウスとも単三電池2本を電源とするものであり、この重さを求めるには電池を内蔵するワイヤレスが必須であると言っていいだろう。

 あとマウスに関して付け加える点があるとすれば、最近の多ボタン化が挙げられるだろう。スクロール付き3ボタンマウスというのが現在は主流だが、Mighty Mouseは4ボタン、LX-8BLは5ボタンであり、10を超えるボタンを擁した多機能マウスも発売されている。流石に1ボタンマウスやスクロールの無いマウスでは作業効率でスクロール付き3ボタンマウスに勝てないと思うが、それ以上となると今のところアプリケーション側の対応がまだ(現在はブラウザやオフィスソフトへの対応が顕著である)なので、イラスト制作に多機能マウスが存分に力を発揮するのは難しいと思われる。ただし、Macで言うところのExposéやDashboardなどの動作をマウス操作で呼び出したい場合には多機能マウスが便利なので5ボタンくらいなら慣れると存分に使いこなせるのではないだろうか。

まとめ

 マウスについて私の信条を色々と書いてみたが、要するにこだわりを持つことが大事だと言うことである。デザインを重視して決めるもよし、多機能にこだわるもよしである。それでも万が一壊れた場合に、もう一度同じマウスを探すほどの愛着が欲しくて、逆に言うならそれだけ愛情を持てる様なマウスを選んで行こうということである。コンピューターを使用して絵を描く場合、入力器機、特にマウスやペンタブといったものは、人間とコンピューターとの数少ない接点である。いい加減に選ぶことはできない。