CompizでMacOSXのような操作感を実現させる その1

執筆日時:2011/07/09

 私がMacOSXを使い始めたのは10.5のLeopardからなので(その後10.3環境も入手している)、既にExposé(10.3から搭載)とSpaces(10.5から)の機能が搭載されていたのですが、これまでWindowsしか使ってこなかった私はこれらの切り替え機能があまりに便利で衝撃を受けた覚えがあります。開いているアプリケーションウィンドウを素早く一覧して切り替えられるExposéと、スペースを切り替えてアプリケーションウィンドウを分類できるSpaces、これらは一度使うともう手放せないと感じている人は多いでしょう。今回はこのうちSpacesに似た操作をLinuxで実現するためのCompizの設定を紹介します。

1. Compizの導入に関して

CCSMの画面

 今回紹介する設定を行うにはCCSM(Compizconfig Settings Manager)を導入する必要があります。このあたりは「3Dデスクトップ環境を設定するには(Compiz Fusion) - Ubuntu Japanese Wiki」に書かれているので、そちらを参照してください。Compizが動作するかはビデオカードの種類などに依存するので、必要な場合は自分の使っているマシンが動作環境に適合しているかを調べて下さい。

2. 「Compizの一般オプション」を設定する

Compizの一般オプションの設定

 最初に、「Compizの一般オプション」を設定しておきます。デスクトップサイズの欄からワークスペースの数を指定します。デフォルトでは「水平仮想サイズ」が4、「垂直仮想サイズ」が1になっているかと思いますが、私はマシンの用途に合わせて2x2にしているマシンと3x3にしているマシンがあります。多くのウィンドウを同時に立ち上げるならワークスペースを多く確保しておくのもよいですが、これを増やすとメモリを喰いそうな気がするので、適度に設定するのがいいでしょう。あまり増やすとワークスペースを一覧するときにも表示が小さくなって操作しづらくなりますし。

3. 「デスクトップの壁」プラグインの設定

デスクトップの壁プラグインの設定1

 それではCCSMが導入できてCompizが動作する環境であるという前提で、設定を行っていきましょう。「デスクトップの壁」プラグインはMacOSXのSpacesで上下左右にスペースを移動できる動作を実現します。「デスクトップの壁を友好にする」にチェックを入れ、まずは「割り当て」の欄を設定していきましょう。私はMacOSX上でもワークスペース間の切り替えを[Ctrl] + [Arrow]で行うよう設定している(というかSpacesではこれがデフォルト)ので、こちらでも同じように設定します。「壁内を移動」の項目内にあるキーボードマークがついた「左に移動」「右に移動」「上に移動」「下に移動」それぞれの右側にあるボタンを押してショートカットキーを設定します。デフォルトでは[Ctrl] + [Alt] + [Arrow]になっているはずです。これを[Ctrl] + [Arrow]にすればSpacesと同じキー動作になります。

デスクトップの壁プラグインの設定2

 次に、「ビューポート切り替えビュー」の欄を設定します。「ビューポート切り替えプレビューを表示」にはチェックを入れておきましょう。ワークスペースをたくさん設定している場合には、ワークスペースを切り替えた際に、どのワークスペースへ移動したのか把握するためにプレビューを表示しておいた方が便利です。プレビューのスタイルについては下部の項目で詳しく設定できます。

デスクトップの壁プラグインの設定3

 あとは「ビューポートの切り替え」欄の設定です。「壁のスライドの持続時間」でスライド時のアニメーション時間を設定できます。私の場合はデフォルトの0.3sのままにしていますが、これは好みに合わせて調整すればいいでしょう。

4. 「展開」プラグインの設定

展開プラグインの設定1 展開プラグインの設定2 展開プラグインの設定3

 「展開」プラグインはSpacesの機能のうち、複数のワークスペースを一覧してワークスペースを切り替える機能を実現します。基本的には右のスクリーンショット画像の通りに設定すればいいでしょう。私は5ボタンマウスを使用しているので、展開のボタンも設定しています(横のボタンはButton8,9として認識されいます)。「動作」欄では「ズーム時間」と「展開アニメーション」を設定できますが、これが一番このプラグインの使用感を決定する項目でしょう。あとマルチモニタ環境では「動作」欄の「マルチ出力形式」を「出力ごとの壁」にしておくといいでしょう。なお、この「展開」プラグインはそれなりに動作が重いのでCPUやGPUにパワーが無いと、軽やかな動作は望めません。設定で「展開アニメーション」を「ズーム」だけにしたり、「外観」欄で「変形」や「Reflection」を切ったりすれば、多少負荷が下がるかもしれません。

 それと「外観」欄の「変形」は「なし」にしておくのが一番綺麗です。「カーブ」や「チルト」にできるのも面白いのですが、アンチエイリアスが効いていないので、ジャギーが目立ちます。

まとめ

展開プラグインで展開したところ

 細かいグラフィックなどはMacOSXのSpacesが勝っているかなと思う点もありますが、挙動のカスタマイズが可能という点ではCompizの「デスクトップの壁」と「展開」を組み合わせた操作感はSpacesよりも自分の好みに近いものに仕上げることが可能です。こういうところがオープンソースのいいところですね。次回はExposéのような動作を実現する「スケール」プラグインの設定を紹介します。